大きなカタルシスを望む人にとっては受け付けない作品だろうなーと思いつつも登場人物達が織りなす相変わらずの伊坂節は随所に健在して楽しめた。
あと、やっぱりああこれは「魔王」の続編なんだなーと思うと同時に著者あとがきにも記されてるとおり「ゴールデンスランバー」と似通った部分が多い作品だなと。
途方もない大きな流れに人は部品として組み込まれ表れてくる、事件が大きな流れの中で別の物に変えられるところ、その流れに逆らってみようとしても敵の不可視性と強大さに出来ることはほとんど無いことなど、共通点がいろいろ。

冒頭は妻に浮気を疑われて監禁状態というところから始まりながら、本当の始まりは上司が投げ出したある出会い系サイトの修正の依頼から。
簡単な作業のはずなのにどうして上司は投げ出したんだ?と作業を進めていくと様々な疑問点が出てくる。
解析を進めていくうちに、あるキーワードを検索することが危険を及ぼすこと、何故上司が逃げ出したのかということ、そしてこの裏には5年前の播磨崎の事件に関わるなにかとんでもないものが潜んでいるということが分かってくる。そして、あらゆるところで出てくる「監視」のワードやそれを思わせる物や表現。

感想は井坂好太郎の台詞「人生は要約できねえんだよ」から拝借して感想は要約できねえんだよ、で。

まぁそれだけで済ませるのもちょっと問題なので、やはり登場人物がいい。
冒頭から「勇気はあるか?」と脅してくる岡本猛、「勇気は実家に忘れてきました」と情けない台詞を吐く主人公・渡辺琢海、その妻で夫の浮気を疑うだけで人を雇って夫を脅したり本人自体が恐ろしく強い渡辺佳代子、人物とはちょっと違うが占いサイトの「~ですよ、絶対」の断定占い、あとはなんといってもやっぱり著者・伊坂幸太郎の変形名を冠した小説家で無類の女たらしでそれでも時折格好いい台詞を吐く井坂好太郎がいい。

作品で検索されていた 播磨崎中学校 安藤商会 で実際に検索したらブログの感想群がヒットする中にひとつだけ出会いすぎちゃうくらい出会っちゃうサイトがあってワロタ。
http://e-1day.jp/sexy0930/
講談社も遊んでるなぁ。 

続いて終末のフールを読む予定。

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