マリアビートル/伊坂幸太郎
2011年11月3日 読書
購入から1年越しの読了です<挨拶
なお、この感想は基本伊坂幸太郎マンセーな人物がお送りするので、相当なバイアスがかかってます。なのでそうでない人は何割か減で捉えてください。
殺し屋達の狂想曲を描いた良作「グラスホッパー」の続編にあたる作品。といっても基本的にはグラスホッパーを読んでいればより楽しめる程度のもので、読んでいなくてもこれ単体で十分読めます。
ただ、令嬢の話とかスズメバチとか槿とか鈴木など前作から引き継いでる要素はしっかりあるので、やっぱグラスホッパーを読んだ上で読む方が正解かな。
幼い息子を意識不明の重体にさせた相手に復讐するために動いた元殺し屋の「木村」、中学生ながら恐ろしいほどに狡猾かつ冷酷な「王子」、一流の二人組み「蜜柑」と「檸檬」、余りにもツキがない殺し屋「七尾」、この4組の視点をメインに様々な思惑が入り乱れながら、皆が同じ新幹線に乗り込み、東京から盛岡までの新幹線という狭い舞台で物語は交錯する。
基本危ない稼業に携わってる人たちがほとんどなので、サブキャラで関わってくる人も大抵そんな人たちばっかりです。
そんな中唯一異彩を放ってる中学生の王子。
もーこいつの狡猾さと冷静さと、一方で無邪気とも言える残酷さには、こいつの視点になるたびにはらわたが煮えくり返りっぱなしですよ。
中学生でも大人なんて要点さえ掴めば簡単にコントロールできると思っているし、実際に実行してしまう狡猾さと残酷さを見ても、この作品のキャラでも随一のキャラじゃないでしょうか。
物語は基本メイン4つの視点(まれに槿)をザッピング形式で進めていくんですが、その入り組ませ方の巧みさはさすがに手慣れてますね。
また、作者が良くキャラ付けに使う、引用を多用するキャラも健在で、今回は定番の文学作品と、なんと機関車トーマス。
機関車トーマスのキャラ紹介を暗記してる殺し屋というのは、物騒ながらなんか愛嬌がありますね。
また、殺し屋達の話と言っても切った張ったの部分はグラスホッパー同様割と少なく、むしろ殺し屋というバックボーンを持ったそれぞれのキャラがどういう思惑で動き、それが交錯するのかという点に重きが置かれていると思います。
加えて今回は新幹線の中という動いている間はほぼ密室かつ狭い空間なのもその辺を際だたせてますね。
木村の父親については読んでる内に何となく想像はついたけど、そっちの人たちまで!?って感じで終盤に明かされていく内容にはやられました。
ネタバレになるので詳しくは書かないけど。
でも、これのメインストリームとなる人物はやはり王子なんだろうなーと思います。ほぼ全ての主要人物に関わり、狡猾に立ち回り、物語の根っこにずいぶんと食い込んでますね。
あと、王子が大人を値踏みするのにした質問、何故人を殺してはいけないのか-という命題に、殺し屋達それぞれの見解と、前作に出てきた鈴木の対照的な答えが印象的です。
結論としては、グラスホッパーの流れをしっかり汲んだ、優れたエンターテインメントだと思います。
木村に関してはちょっとご都合主義かなーとは思ったけど。
あと、アクションシーンはそれほど。まぁ殺し屋小説っていってもそこがメインじゃないのでそれについてはいいんですけどね。
なお、この感想は基本伊坂幸太郎マンセーな人物がお送りするので、相当なバイアスがかかってます。なのでそうでない人は何割か減で捉えてください。
殺し屋達の狂想曲を描いた良作「グラスホッパー」の続編にあたる作品。といっても基本的にはグラスホッパーを読んでいればより楽しめる程度のもので、読んでいなくてもこれ単体で十分読めます。
ただ、令嬢の話とかスズメバチとか槿とか鈴木など前作から引き継いでる要素はしっかりあるので、やっぱグラスホッパーを読んだ上で読む方が正解かな。
幼い息子を意識不明の重体にさせた相手に復讐するために動いた元殺し屋の「木村」、中学生ながら恐ろしいほどに狡猾かつ冷酷な「王子」、一流の二人組み「蜜柑」と「檸檬」、余りにもツキがない殺し屋「七尾」、この4組の視点をメインに様々な思惑が入り乱れながら、皆が同じ新幹線に乗り込み、東京から盛岡までの新幹線という狭い舞台で物語は交錯する。
基本危ない稼業に携わってる人たちがほとんどなので、サブキャラで関わってくる人も大抵そんな人たちばっかりです。
そんな中唯一異彩を放ってる中学生の王子。
もーこいつの狡猾さと冷静さと、一方で無邪気とも言える残酷さには、こいつの視点になるたびにはらわたが煮えくり返りっぱなしですよ。
中学生でも大人なんて要点さえ掴めば簡単にコントロールできると思っているし、実際に実行してしまう狡猾さと残酷さを見ても、この作品のキャラでも随一のキャラじゃないでしょうか。
物語は基本メイン4つの視点(まれに槿)をザッピング形式で進めていくんですが、その入り組ませ方の巧みさはさすがに手慣れてますね。
また、作者が良くキャラ付けに使う、引用を多用するキャラも健在で、今回は定番の文学作品と、なんと機関車トーマス。
機関車トーマスのキャラ紹介を暗記してる殺し屋というのは、物騒ながらなんか愛嬌がありますね。
また、殺し屋達の話と言っても切った張ったの部分はグラスホッパー同様割と少なく、むしろ殺し屋というバックボーンを持ったそれぞれのキャラがどういう思惑で動き、それが交錯するのかという点に重きが置かれていると思います。
加えて今回は新幹線の中という動いている間はほぼ密室かつ狭い空間なのもその辺を際だたせてますね。
木村の父親については読んでる内に何となく想像はついたけど、そっちの人たちまで!?って感じで終盤に明かされていく内容にはやられました。
ネタバレになるので詳しくは書かないけど。
でも、これのメインストリームとなる人物はやはり王子なんだろうなーと思います。ほぼ全ての主要人物に関わり、狡猾に立ち回り、物語の根っこにずいぶんと食い込んでますね。
あと、王子が大人を値踏みするのにした質問、何故人を殺してはいけないのか-という命題に、殺し屋達それぞれの見解と、前作に出てきた鈴木の対照的な答えが印象的です。
結論としては、グラスホッパーの流れをしっかり汲んだ、優れたエンターテインメントだと思います。
木村に関してはちょっとご都合主義かなーとは思ったけど。
あと、アクションシーンはそれほど。まぁ殺し屋小説っていってもそこがメインじゃないのでそれについてはいいんですけどね。
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